京都大学 学術研究展開センター Kyoto University Research Administration

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百万遍談議 第21回「学問とは何か――歴史的に見た科学」(2024年10月19日)(終了しました)

10.01(Tue)2024

かつて喫茶店等で盛んに行われていた学生同士の議論を復活させ、「百万遍談議」として継続的に実施していきます。

授業ではありませんので、なにかこうしなければいけないという義務はなく、単に興味があるから参加して、人の話をきき、自分の考えを述べる。それだけです。
毎回のテーマに関して、あらかじめ知識が必要となるわけではありません。
唯一お願いするのは、毎回提示される「書物」あるいは「短文」を読んでくること。
また、「議論」はしますが、なにか結論を導こうとして話をするわけではありません。テキストを読んで思ったことを自由に話してもらえばいいわけで、もちろんその場で誰かの発言をきいて思いついたことを話しても結構です。

「人はこんなことを考えているんだ」ということを知るだけでも楽しいですし、さらには、自分の考えを人にきいてもらうことの楽しさも、大学生に与えられたある種の特権です。
気軽な気持ちで参加してください。
いろいろな人と人、人と言葉あるいは考えの出会いが生まれることを楽しみにしています。

今回は「学問とは何か」というテーマについて、ともに考えてみたいと思います。
テキストは、下記の申込フォームに記載のリンクからダウンロードして読んでください。

テーマ・話題提供者

「学問とは何か――歴史的に見た科学」 数間 俊哉(総合人間学部4回生)

世話人

沼田 英治 学術研究展開センター 特定教授

日時

2024年10月19日(土) 15:30~17:00

場所

附属図書館3階共同研究室5

対象

京都大学学部学生(正規生)10名 先着順 / 定員に達し次第、受付終了

使用言語

日本語

費用

無料

お申し込み

申し込みフォーム
(終了しました)

※要事前申し込み
※当日参加不可

開催報告

  • 参加者 : 3名
    [内訳]
    1回生1名(文学)
    4回生2名(総合人間学・文学)

  • 談議メモ

    今回は、総合人間学部4回生の数間俊哉さんに「学問とは何か――歴史的に見た科学」をテーマにテキストを執筆してもらい、話題提供をお願いしました。世話人は沼田英治 特定教授です。

    ある架空の講義の一場面を切り取ったテキストは、教壇に立つ教授が学生たちに「学問の歴史とは一体どの様なものであるのか」という問いかけをおこなうところから始まります。それにたいして二人の学生の答えが示され、一人は「学問とは、果て無き荒野を歩み続ける一人の青年の様なもの」と言い、もう一人は「さながら天空に向かって巨塔を築き上げていくが如き営為」だと言い放ちます。

    談議では、まずはそうした学問論を受けて「学問の歴史の扱い方は分野によって異なるのではないか」「理系のなかでもとくに工学では(歴史よりも)最新の技術が重要と見なされるし、一方で人文学では古典も重要視されている」といった指摘がなされました。

    さらに、テキストで示された二人の学生の対比的な学問観については、前者が一人(個人)で後者が集団を想定した活動であり、それぞれ科学と人文学の対比としても考えられるのでは、という意見が見られ、世話人の沼田特定教授(専門は動物行動学・生理学)からは「賽の河原で石を積み続けるのが学問であり、石は倒れ続けるもの」とのコメントも。

    後半はテキストの内容に沿って研究倫理に話が及び、一例として「才能がある遺伝子の人工授精をどう否定するか」という沼田特定教授からの問いかけがあると、参加者からは「感情的にいやだというのが(倫理に反するかどうかの)サインになるのでは」「理屈では説明できない」といった反応が見られた場面もありました。

    最後には、話題提供者の数間さんが用意していたもう1本のテキストをその場でみなで読みながら感想を伝え合いました。テーマは同じく学問論にかんするものでしたが、こちらのテキストでは学問の啓蒙的側面が取り上げられ、その文脈で登場人物の一人が「私は森羅万象の全てが光明の下に晒されて欲しいとは思いません」と言うシーンが注目を集めました。

    「そもそも人間がすべてを解明できるとは思っていないし、すべてが分かってしまうと問いがなくなって面白くない」「(真理の絶対的客観性を主張する)数学も含めてすべては人間の見方によって作られた世界だから、そもそもすべてを知ることはできない」といった感想が交わされ、今回は終始「学問とは何か」という大きな問いに一人ひとりが向き合い、それぞれの視点から考えをめぐらせた回になりました。

    (記録:水野)

お問い合わせ

京都大学学術研究展開センター 百万遍談議担当
内線:16-5177
E-Mail : jinsha*kura.kyoto-u.ac.jp(*を@に変更してください)
※できるだけメールでお問い合わせください。

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