かつて喫茶店等で盛んに行われていた学生同士の議論を復活させ、「百万遍談議」として継続的に実施していきます。
授業ではありませんので、なにかこうしなければいけないという義務はなく、単に興味があるから参加して、人の話をきき、自分の考えを述べる。それだけです。
毎回のテーマに関して、あらかじめ知識が必要となるわけではありません。
唯一お願いするのは、毎回提示される「書物」あるいは「短文」を読んでくること。
また、「議論」はしますが、なにか結論を導こうとして話をするわけではありません。テキストを読んで思ったことを自由に話してもらえばいいわけで、もちろんその場で誰かの発言をきいて思いついたことを話しても結構です。
「人はこんなことを考えているんだ」ということを知るだけでも楽しいですし、さらには、自分の考えを人にきいてもらうことの楽しさも、大学生に与えられたある種の特権です。
気軽な気持ちで参加してください。
いろいろな人と人、人と言葉あるいは考えの出会いが生まれることを楽しみにしています。
今回は「生物の時間と人間の生活」というテーマについて、ともに考えてみたいと思います。
テキストは、下記の申込フォームに記載のリンクからダウンロードして読んでください。
「生物の時間と人間の生活」 沼田 英治 学術研究展開センター 特定教授
2024年4月27日(土) 15:30~17:00
京都大学 楽友会館(吉田南構内マップ No.96) 2階会議室5
京都大学学部学生(正規生)先着10名
日本語
無料
こちらからお申し込みください。 (受付は終了しました)
今回は新年度初回ということもあり、特別に本学所有の登録有形文化財である楽友会館にて実施しました。
テーマは「生物の時間と人間の生活」とし、南太平洋の島に住むパロロという動物と現地の人びとのリズムが紡ぎ出す不思議な物語をめぐって議論しました。もっとも話題が集中したのは、使用テキストにて紹介されたパロロの海水中での受精にみられる不思議――「毎年10月末から11月初めの2回、夜明けが満潮と重なる時に、パロロの発達した生殖巣を含む後半部分がちぎれて泳ぎ出して海水面まで上昇し、そこで卵と精子を放出する」――であり、しかもその環境条件が特段パロロの生殖にとって都合がよいわけではない、という点が参加者のみなさんの頭を悩ませることに。
その生態の謎については、専門家のあいだでも解明されておらず、話題提供者の沼田英治 特定教授(動物生理学・行動学)とともに、みなでヒトや素数ゼミといった他の生物の生存戦略とも比較しながら、それぞれの考えをぶつけ合いました。
後半には、現地の人びとがパロロのそうした行動を把握・伝承していて、毎年彼らが泳ぎ出す日と時刻にあわせて漁に繰り出し、網で大量にすくって美味しく食べている、という事実に着目しました。その伝承の不思議に迫る際には、「古くから地元の人びとは月や星座の配置をもとに経験則で知っていたのでは」「預言者(foreteller)の存在が文献にみられることから、宗教儀式といった文化に組み込まれていたのかも」といった意見がみられました。
終盤には、緑色で各節にいぼのあるミミズのような形をしたパロロを食すことについて、「何を気持ち悪い/美しいと感じるかは文化の違いによるのでは」「異常な好奇心がある個体の存在が生存戦略につながるのでは」などという意見も飛び出す傍ら、生物の色素と進化をめぐる不思議にも話題が及び、終始賑わいをみせた回となりました。
(記録:水野)
https://www.kura.kyoto-u.ac.jp/act/20240622/
京都大学学術研究展開センター 百万遍談議担当
内線:16-5177
E-Mail : jinsha*kura.kyoto-u.ac.jp(*を@に変更してください)
※できるだけメールでお問い合わせください。