かつて喫茶店等で盛んに行われていた学生同士の議論を復活させ、「百万遍談議」として継続的に実施していきます。
授業ではありませんので、なにかこうしなければいけないという義務はなく、単に興味があるから参加して、人の話をきき、自分の考えを述べる。それだけです。
毎回のテーマに関して、あらかじめ知識が必要となるわけではありません。
唯一お願いするのは、毎回提示される「書物」あるいは「短文」を読んでくること。
「人はこんなことを考えているんだ」ということを知るだけでも楽しいですし、さらには、自分の考えを人にきいてもらうことの楽しさも、大学生に与えられたある種の特権です。
気軽な気持ちで参加してください。
いろいろな人と人、人と言葉あるいは考えの出会いが生まれることを楽しみにしています。
今回は「幸せってなんだろう?」というテーマについて、ともに考えてみたいと思います。
テキストは、下記の申込フォームに記載のリンクからダウンロードして読んでください。
「幸せってなんだろう?」 沼田 英治 人と社会の未来研究院 特定教授
2023年12月23日(土) 15:30~17:00
附属図書館3階共同研究室5
京都大学学部学生(正規生)先着10名
日本語
無料
こちらからお申し込みください。 (受付は終了しました)
第10回に引き続き、話題提供者がソ連崩壊の前年にあたる1990年に同地に滞在した体験を綴った使用テキストをもとに談議を開始。現・ウクライナとの国境近くにある自然豊かなベルゴロド州の実験所では、経済的苦境にありながらも人びとが研究や教育を行い、幸せそうに暮らしていた様子から、当時の共産主義の是非をめぐる話題に終始議論が集中しました。
とくに、ソ連時代には総合大学の存在が国家の威光に直結していたことから、現代に比して科学者が尊敬され、女性の経済的自立を大前提とする共産主義下にあっては研究者の男女比も平等であり、高等教育はすべて無償(それだけでなく学生に給料まで支払われていた)であったことを踏まえ、大学の役割についてさまざまな意見が交わされました。
現在の日本の大学については「就職のための予備校になってしまっているのが問題だ」「短大は就職のための教育に特化するなど、大学にはいろいろな役割があっていい」「大学では遊んでも何をしても、一個人が有する『権利』として一律無償化としてもよいのでは」「国家の政策に必要な学問(医学、工学など)を学ぶための学費は無償でもよいのでは」といった声も聞かれました。
今回のテーマ「幸せってなんだろう?」に関しては、終盤に使用テキストの時代背景として描かれていたバブル期の日本の風潮――「24時間戦えますか」――を振り返りつつ、じっと思考をめぐらせる場面も。「ずっと働き続けるのは嫌だが、何もしないことへの不安もある」「幸福観は国や時代の空気によっても異なるのでは」など、それぞれが自分の立場で考え、互いの声に静かに耳を傾ける中で幕を閉じた回となりました。
(記録:水野)
京都大学学術研究展開センター 百万遍談議担当
内線:16-5177
E-Mail : jinsha*kura.kyoto-u.ac.jp(*を@に変更してください)
※できるだけメールでお問い合わせください。