かつて喫茶店等で盛んに行われていた学生同士の議論を復活させ、「百万遍談議」として継続的に実施していきます。
授業ではありませんので、なにかこうしなければいけないという義務はなく、単に興味があるから参加して、人の話をきき、自分の考えを述べる。それだけです。
毎回のテーマに関して、あらかじめ知識が必要となるわけではありません。
唯一お願いするのは、毎回提示される「書物」あるいは「短文」を読んでくること。
「人はこんなことを考えているんだ」ということを知るだけでも楽しいですし、さらには、自分の考えを人にきいてもらうことの楽しさも、大学生に与えられたある種の特権です。
気軽な気持ちで参加してください。
いろいろな人と人、人と言葉あるいは考えの出会いが生まれることを楽しみにしています。
今回読んできていただくのは、「真理と真実」をテーマにした文章です 。
下記、申し込みフォームに記載のリンクからダウンロードして読んでください。
「真理と真実」 宇佐美 文理 文学研究科 教授
2023年6月17日(土) 10:30~12:00
附属図書館3階共同研究室5
京都大学学部学生(正規生)先着10名
日本語
無料
こちらからお申し込みください。(受付は終了しました)
一見すると、「真理」と「真実」の関係性の変化をめぐるSF的展開を予感させる物語(使用テキスト)の結末部分について、それぞれが異なる解釈を提示することから議論が始まりました。
中盤には、物語に登場する「真理防禦器」と「真実判定機」の機能に着目しながら、なぜ「真実判定機」が裁判所に持ち込まれてはいけないのか――逆に言えば、裁判所が守りたい「真理」とは何か――といったことへ話題を転換。互いに意見をぶつけ合うなかで参加者のみなさんがいったん行き着いたのは、「真実」とはイエス/ノーの結果のみから構成される、AI(真実判定機)が作り出す二者択一的世界であり、対する「真理」とは議論の末に導き出される、原告・被告双方の主張を弁証法的に取り込んだ「普遍性」を志向する人間の営為そのものである、という解釈でした。
いっぽうで、しかし「真理」とは絶対普遍のものであり、それを人間の手で捉えようとした瞬間に「真実」になる(ゆえに人間にとっての「真理」は存在しない)という意見や、「真理」とは地中深くにあるもので、ありそうだと思わせてくれるもの――もしくは直観するもの――そのものである(よって「真理」は複数人で共有されずとも一人でも成立する)、といった発言も飛び出し、ふたたび議論がリセットされるような場面も。
人間の認識のあり方そのものを問うような大きなテーマを前に、それぞれの視点から思索を巡らせた回となりました。
(記録:水野)
京都大学学術研究展開センター 百万遍談議担当
内線:16-5177
E-Mail : jinsha*kura.kyoto-u.ac.jp(*を@に変更してください)
※できるだけメールでお問い合わせください。