2014年9月28日、京都大学百周年時計台記念館にて、「京都大学アカデミックデイ2014 みんなで対話する京都大学の日」を開催しました。「京都大学アカデミックデイ」は、本学の研究者が来場者と直接対話することで、本学の研究活動をわかりやすく説明すると共に、国民の声を本学における研究活動に反映させることを1つの目的とした取り組みです。今年度は50組の研究プロジェクト、185名の研究者(大学院生含む)が参加すると共に、近隣の高校からも4組の出展が行われました。当日は晴天に恵まれ、1日で延べ487人の来場者が訪れました。
会場の様子
「京都大学アカデミックデイ」では、「対話」のスタイルに合わせて4つのプログラムを用意しました。研究者とじっくり対話をする「ちゃぶ台囲んで膝詰め対話(サイエンスカフェ)」や、様々な分野の研究者に触れることのできる「研究者と立ち話(ポスター/展示)」、1つのテーマに沿ってみんなで話し合う「お茶を片手に座談会(トークライブ)」、そして、参加研究者がお勧めする本を紹介する「研究者の本棚(特設図書室)」です。それぞれのスタイルで、研究者と来場者が対話を楽しんでいました。
研究者と立ち話(ポスター/展示)
ちゃぶ台囲んで膝詰め対話(サイエンスカフェ)
お茶を片手に座談会(トークライブ)
研究者の本棚(特設図書室)
映像上映・解説
ミニトーク
イベント閉幕後には、「京都大学アカデミックデイ賞」の発表が行われました。「京都大学アカデミック賞」は、研究者が研究活動の一環として「国民との科学・技術対話」活動に参加し、さらによりよい対話を目指すことが評価される(価値をもつ)仕組みづくりを目指して設けられました。来場者アンケートに、「本日の『ちゃぶ台囲んで膝詰め対話』と『研究者と立ち話』の中で、あなたがよかったと思うのはどの出展ですか?もしその出展になにか「賞」をプレゼントするなら、どんな名前の賞にしますか?」という質問を設け、一番コメントを多く集めた出展研究者が、今年度の「京都大学アカデミックデイ賞」の受賞者です。
2014年度「京都大学アカデミックデイ賞」受賞者
出展名:「トマトって、なに?」
出展代表者:柴田大輔(京都大学大学院農学研究科「カゴメ」トマト・ディスカバリーズ講座 特任教授)
出展参加者:荒武(京都大学大学院農学研究科「カゴメ」トマト・ディスカバリーズ講座 特定准教授)、高橋慎吾(同 特定助教)、高橋春弥(同 博士研究員)、毛利晋輔(同 博士後期課程)
授賞コメント:
はじめての参加でこのような賞を頂くことができ、とても驚きましたが、大変うれしいです。私達の発表に興味を持ってくれた多くの来場者の皆様、また発表の場を与えてくれたスタッフの皆様に、大変、感謝をしております。
●ポスター&展示物を準備するとき工夫したこと
ポスターでは「わかりやすさ」「イメージのしやすさ」を目指して、写真や絵を中心にして、文字での説明は最小限に、できるだけ少なくしました。また、ポスターの中で、子供や一般向けのトピックと、高校生や大学生向けのトピックとが半々になるようにして、興味がありそうなトピックを2〜3個説明すればよいような構成にしました。ポスターのトピックの位置(左右)と、関連する展示物の位置(左右)をあわせるようにして、展示物からポスター、ポスターから展示物へと、展示物を用いた説明の流れがスムーズになるようにも気を配りました。ほかにも、研究を理解するうえで重要な概念の単語などは、赤字にしたり下線を引くなどして、短い時間で説明するときに注目しやすいように気を配りました。
展示物は「手にとって眺められる物」として、実験材料であるトマトや野菜、関連する製品や書籍、お手製のゲームなどを用意しました。話題を広げやすくするために、野菜や食品はスーパーなどで売っている日常よく見かけるものと、めったに見られない珍しいものを両方用意しました。いろいろな種類のトマトや野菜、展示物を用意することで、研究の広がりや奥行きをイメージしやすいように工夫しました。
●来場者とのやり取りで印象に残ったこと
「トマトが好き」と言って見に来てくれた人がたくさんいたことが印象的でした。トマトは日常に密着しているものなのだなあ、とあらためて実感しました。おかげで、研究紹介も非常に楽しい雰囲気で行うことができました。
「〜と言われているのは本当ですか?」と新聞やネットの情報を再確認したいと思う人がたくさんいたことも印象的でした。こうした日常の疑問に大学の研究者が答える機会として、アカデミックデイはとてもよい機会だと思いました。例えば、「トマトは生で食べるのとジュースを飲むのはどちらが健康にいいのか」と聞く人がたくさんいて、食生活の改善に気を使っている人がたくさんいることがわかりました。また、一人一人の食生活や嗜好性にあわせて答えることができたことも、大変よかったです。
来場者それぞれの「トマト」のイメージや、食生活における位置づけを聞くことができたことが印象的でした。食事と健康の関係を考える上で、多様な食事の取り方を知ることは、今後の研究開発を進める上でも大変に役立ちました。このことは、より多くの社会への出口を考えるきっかけになりうるもので、アカデミックデイに参加して大変よかったと思いました。
開催報告書も近々掲載予定です。
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