―細さんの展示は、来場者の方が群がるというよりは、常に一定程度人がいたという印象でしたが、話し方で何か工夫をされていましたか?
動画や模型に引き込まれて数人集まったら、10分から20分くらい説明をし、その後は質問を受け付けるというスタイルでやっていました。後ろに人がたまってきたら、さりげなく次の説明をはじめる、とかしていましたね。だからか、あまり長居される方はいらっしゃらなかったかも。
イベントに参加しようと思った動機が、学内外のいろんな人に研究を知ってもらいたいと思っていたことだったので、たくさんの人に出会えてよかったです。ポスター前での立ち話だと、距離が近いので、講演会では質問してくれそうにないことも聞いてくれた気がします。
―来場者の方とのやり取りで、何か印象的なものはありますか?
よく聞かれたのは、「この研究は人間にどう関係するの?」「私たちの暮らしに役立つの?」といったものでした。ちなみに、この質問は、昔、博士論文発表会の後、行きつけの定食屋(ちなみに、「キャラバン」というお店)のおっちゃんにされた質問でもあるのです。当時、そんなことを言われたのは初めてで、主査より厳しいし!と思った覚えがありますね。それ以来ずっと答えを考え続けてきました。
最近の私なりの答えは、「ヒトも生き物で、これまで進化してここまで来たのです。ヒト以外の生き物について研究することで、ヒトの進化の解明につながるような新しいアイディアを得ることもあるのでは?」というものです。
私の研究しているカタツムリの右巻き/左巻きは、たった1個の遺伝子の変異で変わってしまいます。その変異が、他個体と交尾できなくなる性質の進化(種分化)と同時に、ヘビに対する適応進化にも大きな効果を発揮することが私の研究で分かりました。このように、1個の遺伝子がその生物にものすごく影響を及ぼすというのは、「小さな変異が積み重なって生物は進化する」という定説とは逆の現象です。ここまで説明して、面白い!と言ってもらえた時には、やった!と思いました。こんな深い話ができるところまで、お客さんの興味をひき続けることができた、ということですから。
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投票数の多かった出展と受賞理由の賞の名前
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「右利きの蛇と左巻きのカタツムリ」:細将貴(京都大学白眉センター 特定助教)
・人間の謎にも応用してほしいで賞
・えいぞうがすごいで賞
・タイトルでひきつけられるで賞
・ヘビ、イイヨ、かっこイイヨで賞
・科学のひらめき賞
・タイトルでひきつけられるで賞 … 他
「ヒトの記憶と脳のはなし」:月浦崇(京都大学大学院人間・環境学研究科 准教授)
・質問しやすかったで賞
・自分を見つめ直したで賞 … 他
「火星移住の人文社会科学的検討」:磯部洋明(京都大学学際融合教育研究推進センター 特任准教授)
・興味関心をより深くしてくれたで賞
・いつもとは違う考え方が面白かったで賞 … 他
「ヒトの心のはたらきの発達」:鹿子木康弘(京都大学大学院教育学研究科 特定助教)
・人生に影響を与えてくれた賞
・不思議で魅力的で賞 … 他
「消えた父の遺産」:西村芳樹(京都大学大学院理学研究科 助教)
・話がおもしろくて分かりやすかったで賞
・研究者は大変ということを教えてくれたで賞 … 他
「不便益:不便の効用を活かすシステム論」:平岡敏洋(京都大学大学院情報学研究科 助教)
・色々なアイディアを実用化していってほしい賞
・発送の転換にワクワクしたで賞 … 他
「聖徳太子ロボットを作る」:奥乃博(京都大学大学院情報学研究科 教授)
・初心者によく説明してくれアリガトウ賞
・将来を考えさせてくれたで賞 … 他
「魚の“細胞”や“組織”を覗き見しよう」:飯田敦夫(京都大学再生医科学研究所 助教)
・実物が見れて興味が湧いたで賞
・魚が色々知られて恥ずかしがっているで賞 … 他
「iPS細胞の“いま”と“これから”」:中川誠人(京都大学iPS細胞研究所 講師)
・科学者気分になれたで賞
・研究をがんばってほしいで賞 … 他
「体感!キノコから見た多様性」:兵庫県立御影高等学校 環境科学部生物班
・高校生なのにがんばってる賞
・キノコっ子にならせてくれたで賞 … 他
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