京都大学学術研究支援室(KURA)は2019年1月31日(木)、稲盛財団記念館での特別講演会「砂漠の中の庭園:エジプト・ダハシュールの屈折ピラミッドにおける近年の発掘調査」の開催を支援しました。
この講演会は、マドリード・ドイツ考古学研究所の上席研究員フェリックス・アーノルド博士を招いたもので、主催したアフリカ学際研究拠点推進ユニットから重田眞義 アフリカ地域研究資料センター長・アジア・アフリカ地域研究研究科教授、共催機関の深見奈緒子 日本学術振興会カイロ研究連絡センター長と河合望 金沢大学新学術創成研究機構准教授が参加しました。
英語の講演で通訳がありませんでしたが、参加申し込みは20人を超え、古代エジプトに対する学術的な興味関心の高さが伺えました。
会では、屈折ピラミッドで近年行われているドイツ考古学研究所の発掘調査を詳しく紹介。この調査により、屈折ピラミッドとこれに付随する神殿は、広大な景観計画の一部であることが明らかになるとともに、砂漠の枯れ谷が人為的に拡張され、緑地から離れた神殿の付近には港が建設されていたこともわかりました。また、神殿の傍からは、庭園に囲まれた日乾レンガ製の祭祀施設や、ヤシ、シカモア、レバノンから輸入したイトスギなどの300本以上の樹木が植樹されていたこと、さらに物理探査の結果からは、神殿に仕えた神官が居住していた町の輪郭も明らかになっています。
今後は、この講演会を契機として、アフリカ学際研究拠点推進ユニットの活動範囲のさらなる広がりが期待されています。
KURAからは神谷俊郎URA、若松 文貴URA、坂本 翼URAが、日程調整や会場整備、当日の司会進行まで、様々な面で支援しました。
講演するフェリックス・アーノルド博士