「学術や芸術は個人の才能の結果ではない。本当の原動力は理解したいという気持ちである。両者はリアリティを構築する点において一致している。」
(アンジェラ・デタニコ /ワークショップ中の発言)
「知を創造するとき」は、京都大学の研究者・URAとフランス外務省関連機関アンスティチュ・フランセの国外文化施設ヴィラ九条山に滞在する芸術家・マネージャーの間で行った、ディスカッションで構成されるプロジェクトで、芸術・学術の枠組みを超えた共創の可能性を追求する試みです。
2016年11月、「わたしたちの間に共通の問いが立てられるのか」という疑問を追求するところから出発し、2017年4月までに26人がメンバーとしてディスカッションに参加しました。
このディスカッションの記録を、日本語・英語・フランス語の3ヵ国語対応で発行しました(一部、日英2ヵ国語)。
研究者は今、それぞれ細分化したフィールドの中で活動することが多く、ちょっとしたきっかけですれ違うことはあっても、深く交わる機会は限られています。
通信技術と移動手段が発達した現代において、研究者と芸術家を含めた多くの「探求する人々」は、対象を理解したいという原動力を糧に、大量の情報を交換し、世界各地に移動しています。
そして、技術と手段の進歩により出会いの機会は格段に増えたといえるでしょう。
一方で、機会の増大に伴い、出会いの瞬間はまたたく間に通り過ぎるようになりました。
出会いの密度はしかし、「探求する人々」にとって重要なものなのです。
京都大学学術研究支援室(KURA)では、研究における出会いの機会を、本来未分化である創造活動というフィールドに設定し、共創の場を拡張する取り組みを行っていきます。