2021年9月20日発行の国立国会図書館の情報誌『カレントアウェアネス』(No.349)に研究評価に関する論文「DORAから『責任ある研究評価』へ:研究評価指標の新たな展開」が掲載されました。これは、学術研究支援室(KURA)の人文社会系研究支援プログラム・研究力の可視化プロジェクトの一環として、 佐々木 結 URAが政策研究大学院大学 林隆之教授と共同で執筆したものです。
ジャーナル・インパクト・ファクター(IF)など雑誌ベースの数量的指標を誤用した研究評価が、学術研究や大学のあり方に影響を与えていることへの懸念は、欧米を中心に古くから指摘されてきました。本稿では、2010年代初頭から欧米で展開された研究評価見直しに関する議論を追いつつ、近年注目されている「責任ある研究評価」という概念について掘り下げて紹介しています。
「研究評価に関するサンフランシスコ宣言(DORA)」などに代表される「責任ある研究評価」の動きは、主に数量的指標への過度の依存をなくすといった研究評価制度の改善への提言として知られています。さらに近年では、欧州、南米などで進むオープンサイエンスの流れと合流し、より多様な研究成果、研究活動の価値を公正に報奨、評価していく研究文化の醸成を求める動きともつながり、大学を含む研究機関、資金配分機関などに広く支持が広がっています。
日本ではこれまでこうした議論はあまり深まっていませんが、指標に基づく資金配分の増加やオープンサイエンスの促進という政策課題などにより、「責任ある研究評価」の議論がより身近で切実なものとなっています。KURAでは引き続き全国のURAネットワークなどと協働し、こうした政策動向や議論をフォローするとともに、研究の発展に資する研究評価とは何か、議論から行動へつなげる機会を増やしていきます。
○国立国会図書館の情報誌『カレントアウェアネス』(No.349)に研究評価に関する論文「DORAから『責任ある研究評価』へ:研究評価指標の新たな展開」
https://current.ndl.go.jp/ca2005