京都大学 学術研究展開センター Kyoto University Research Administration

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ウェビナー「責任ある研究評価を考える~大学・研究機関にとっての責任ある研究評価とは~」を開催しました(2021年2月5日)

02.15 (Mon)2021

2021年2月5日(金)、第9回JINSHA情報共有会、「責任ある研究評価を考える~大学・研究機関にとっての責任ある研究評価とは~」を開催しました。このセッションは、学術研究支援室(KURA)の人文・社会科学系研究支援プログラムメンバーが、人社系URAネットワーク*1の8大学のURAと共同で開催したもので、165 名の参加がありました。

当日はまず、海外識者2名から話題提供がありました。James Wilsdonシェフィールド大学Research on Research Institute (RoRI)所長からは、研究評価に関するサンフランシスコ宣言(DORA)*2を含む、「責任ある研究評価」*3に関する最前線の議論についてお話いただきました。

続き、Justin Zobel メルボルン大学副学長からは、2019年末にオーストラリアの大学で初めてDORAに署名するに至った経緯や、「研究評価指標の責任ある利用に関するアドバイザリーグループ」として、DORA署名後に取り組んでいる学内の課題などについて、お話がありました。

この二名の話題提供を受けて、まずの後藤 由季子 東京大学大学院薬学系研究科教授のコメントでは、ライフサイエンス分野の研究者が直面している、出版と評価に関する構造的な課題が指摘され、そのうえでDORAへの署名などを利用して、大学が多様な研究成果を評価するという態度を明確に表明することの意義について触れられました。続き押海 圭一 人間文化研究機構特任助教からは、人文社会科学系の研究評価に伴う特有の課題を整理したうえで、既存の指標で測れることを中心に測ってしまうことで、本来的な研究の価値が置き去りになる現状について問題提起のコメントがありました。

この企画は、人社系URAネットワークとの連携のもとKURA人文・社会科学系研究支援プログラムの佐々木 結URAが中心となって企画、準備を進め、プログラムメンバー(鈴木 環天野 絵里子稲石 奈津子)と国際グループ小山田 彩URAが運営をサポートしました。今後、同プログラムでは、このウェビナーの内容を関係機関と共有し、研究の発展につながる評価につなげる努力を続けていきます。


質疑に応じるスピーカー(上段左から押海 人間文化研究機構特任助教、佐々木URA(司会)、Wilsdonシェフィールド大学Research on Research Institute (RoRI)所長、下段左から後藤 東京大学大学院薬学系研究科教授、Zobel メルボルン大学副学長)

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当日発表資料、イベント情報はこちら

*1
大阪大学 経営企画オフィスURA 部門
京都大学 学術研究支援室(KURA)
筑波大学 URA 研究戦略推進室/ ICR
早稲田大学 研究戦略センター
琉球大学 研究推進機構研究企画室
北海道大学 大学力強化推進本部 研究推進ハブ URA ステーション
横浜国立大学 研究推進機構
中央大学 研究支援室
広島大学 学術・社会連携部 URA 部門

*2
サンフランシスコ研究評価宣言(San Francisco Declaration on Research Assessment , DORA、2012年): 細胞生物学分野の学会、学会誌編集者、研究者が中心となり、ジャーナル・インパクト・ファクター(JIF)の限界を指摘。助成機関、学術機関、研究者など対象ごとに勧告をまとめているのが特徴。論文が掲載されている雑誌名ではなく、その論文の科学的内容こそを評価、また、多様な研究成果物の価値とインパクトを評価するよう勧告。

*3
多様で包摂的な研究文化のもとで、複数の異なる特性を有する質の高い研究を促し、把握し、報奨するような評価のアプローチを指す包括的用語。前出DORAを始め研究評価のあり方を見直す動きの一部が「責任ある研究評価」として言及され注目を集めている。また、この動きがオープンサイエンスの潮流と合流したことで、ジャーナル出版社による寡占状態やそれと結びついた大学ランキング産業の商業主義的な流れから、学術・研究文化と価値を取り戻す動きとして加速している。さらに近年、キャンパス内の人種差別撤廃(BLM)などの動きや、次世代研究者支援を求める流れ(公平性・包摂性)も加わり、「責任ある研究評価」は、単なる研究評価の域を超え、新たな研究文化の醸成を目指す大きな潮流となっているとも言える。

 

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