若手研究者を支援する京都大学学術研究支援室(KURA)と京阪神次世代グローバル研究リーダー育成コンソーシアム(K-CONNEX)のリサーチ・アドミニストレーター(URA)は2016年9月12—13日、英国で開催されたVitae Researcher Development International Conferenceの年次大会に参加し、欧州各国の大学・研究機関と互いの取り組みについて情報交換しました。
Vitaeは「研究者の潜在力をグローバルに引き出すこと」を目指して英国に設立された、研究者の専門性育成をサポートする人材のための先駆的組織です。欧州を中心に約半世紀わたって、研究者のスキルやキャリアの強化のためのトレーニング、調査、コンサルテーションのプログラムを提供し、研究者育成を牽引しています。
年次大会には、世界各地から集まった研究者育成実務者とマネージャーが、47のワークショップと16のプレナリーセッションを通じて、研究者育成(Researcher Development)のケーススタディ手法と、その実施で浮かび上がった課題を共有。それぞれが伝授し合った手法やプログラムは、各機関で応用・実施され、次の年次大会で成果や課題を議論します。
欧州における研究者育成は、トレーニングやワークショップによる方法論の伝授から脱却し、研究者自身の主体的な「気づき」を促す機会形成を、組織の見直しを伴いながら実現する方へシフトしています。大会中のセッションでは、多様性や流動性が研究の未来を支えるという考え方が、欧州の研究機関で浸透している背景が強く感じられました。短期的な成果主義による淘汰ではなく、研究・研究者の多様性をどのように引き伸ばすかを課題とすると共に、研究者の権利を守りながら、国境や言語、性別を超えた流動性を制度で担保することが、研究力に繋がるという考え方を打ち出していました。
日本国内では、研究者の若手ステージや育成という視点や意識は、まだ芽生えたばかりです。KURAは、研究者の若手ステージの範囲を博士課程まで幅広く捉え直し、研究者の「育成」、ひいては研究力の持続的発展に、国際的な繋がりを有効活用して取り組む予定です。
Opening plenary
Realising the potential of researchers、Opening plenary の様子