平成16年度の国立大学の法人化にともない大学を取り巻く環境が大きく変化し,大学において大学経営ガバナンスの改革、研究及びこれを通じた高度な人材の育成、外部資金獲得、研究の大型化、産学官連携、国際化などの重要性が高まり、それらへの対応がより強く求められるようになってきました。このような状況から、学術研究懇談会(RU11※)による研究担当理事・副学長懇談会において、平成21年5月より大学において研究費の申請や研究プロジェクトのマネジメント等、大学の研究力強化を支援するリサーチ・アドミニストレータ―(URA)の育成・確保についての議論が始まり、平成23年度より文部科学省「リサーチ・アドミニストレータ―を育成・確保するシステムの整備」事業が開始されました。本学はこの補助事業の採択を受け、平成24年4月1日付けで8名のURAからなる学術研究支援室(KURA)を設置しました。さらに翌平成25年には京都大学の自主事業として8地区に、部局URA組織が設置されました。
平成23年度に始まった第4期科学技術基本計画において我が国の国際的な研究力の低下が指摘されたことを踏まえて、平成25年度から文部科学省は、URAの確保・活用と集中的な研究環境改革を組み合わせた研究力強化の取組を支援することを目的とした「研究大学強化促進事業」を開始、京都大学は本事業の採択を受け、URA制度の学内整備・活用と研究環境の整備に努めてきました。平成28年にはURA間の情報共有の強化等を目的としてKURAと部局URAが統合され新しい学術研究支援室(KURA)が発足しました。さらに令和4年10月には、京都大学の様々な世代・ジェンダー・国籍・分野の研究者を対象とした更なる「研究力」強化を目的として、学術研究展開センター(KURA)へと研究支援体制の再編・機能拡充を実施しました。KURAには現在約四十名のURAが所属し、大学の研究力強化、研究環境整備、大学経営戦略の企画・立案、研究の国際化、産学官連携等の推進・支援に日々努力しています。
※RU11(Research University 11):研究大学間の政策協議を推進する趣旨で発足。平成21年11月に9大学(北海道大学、東北大学、東京大学、早稲田大学、慶應義塾大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、九州大学)で発足し、平成22年8月に筑波大学、東京工業大学が加入し、現在は11大学で構成。
URAは、「大学等組織全体を俯瞰しながら、学術的専門性を理解しつつ、自身の業務に関する専門性とセクターに偏らない能力を駆使して、多様な研究活動とそれを中心に派生する様々な業務に積極的かつ創造性をもって関わり、研究者あるいは研究グループの研究活動を活性化させ、組織全体の機能強化を支える人材」です。すなわち、大学等においてその研究力強化のために、研究者・事務職員と連携して、研究活動の企画・マネージメント、研究成果の活用などの推進・支援等の業務を担う専門人材です。
URAの業務内容は、文部科学省「リサーチ・アドミニストレータ―を育成・確保するシステムの整備」(URAスキル標準の策定)事業において、
1. 研究戦略推進支援業務(研究力の調査分析、研究戦略策定等)
2. プレ・アワード業務(研究プロジェクト企画立案支援、外部資金情報収集、申請資料作成等)
3. ポスト・アワード業務(研究プロジェクト実施のための対外折衝・調整、プロジェクトの進捗管理、プロジェクト評価対応関連業務等)
4. 関連専門業務(国際連携支援業務、産学連携支援業務、研究広報関連業務、倫理・コンプライアンス関連業務等)
と整理されていますが、大学が求めるURAに対する期待・ニーズに応じて、大学毎に業務割合や内容には違いがあります。
「リサーチ・アドミニストレーターを育成・確保するシステムの整備」事業
組織図等はこちらをご覧下さい。